2023/09/24 20:00

この2つのステンレスはいずれも金属アレルギーの反応を起こしにくい素材としてアクセサリー業界で注目されています。

そのステンレス、表記で「ステンレス」と書いてあったり「サージカル・ステンレス」と書いてあったり、で、違いがわからない...。どちらも金属アレルギーには良いと書いてあるけど、同じもの? 別物ならば何が違うの?


金属アレルギー反応が起きにくい訳

本題の前に、まず、ステンレスとは何か? 

鉄を主なベース原材料として、それに金属アレルギー要因になりやすい材料(クロム、ニッケル)を混ぜ合わされて作られていますが、水分や汗などがステンレス素材表面のバリヤーとして活躍する被膜(不動態皮膜と呼ばれます)でブロックされます。このため素材内部に水分が侵食されないため金属イオンが発生せず、金属アレルギーを起こしにくいと言われています。

この被膜は金属素材クロムに大気が触れることで反応して出来上がり、たとえ、何かの衝撃で素材に傷がついたとしてもそこが再度大気に触れることで再被膜化が起こり、バリヤーが自己修復されます。

ステンレスとサージカルステンレスの違い

さて、本題です。
一般のステンレスは先程説明した皮膜が生成され強力なバリヤーとなっていますが、海水などの塩化物に触れる過酷な環境には耐えられず腐食が起きやすくなってしまうらしいです。環境によってはバリヤーに亀裂ができ、そこから汗や水分が入り込むような物と思ってください。
これを改善するため、ステンレスの原材料(鉄、クロム、ニッケル)に追加の金属材料(モリブデン)を添加さして作られたものが、サージカル・ステンレス。追加された金属モリブデンがステンレス内のクロムによる自己修復作用をさらに高め、より腐食に強い金属となるそうです。

ステンレスとサージカル・ステンレスの見分け方

では、この2つのステンレスの見分け方ですが、
⚫︎一般のステンレスはSUS304と表記
⚫︎サージカル・ステンレスはSUS316またはSUS316Lと表記
気になるアクセサリーがステンレス素材のとき、【素材】の記載欄でこの表記があれば正しく見分けることができますよ。
このSUSxxxの表記がない場合ですが、説明文で「ステンレス」とだけ表記されている場合は、おおよそSUS304と思って良いでしょう。
サージカル・ステンレスと表記されている場合はSUS316またはSUS316Lと思って良いかもしれませんが、ここで、注意が必要です。ショップによっては、「サージカル・ステンレス」という言葉の方が聞こえが良いためなのか、理解不足なのかわかりませんが、SUS304の一般ステンレスも「サージカル・ステンレス」と表記しているケースを見かけます。
とはいえ、それぞれの特徴の差が気にならなければどちらも金属アレルギー反応を起こしにくい素材として優秀なので安心してください。

サージカル・ステンレス 「SUS316」と「SUS316L」って何?

あれあれ、片方には記号の最後に「L」がついている?
この2つ、金属アレルギーに対する機能としては違いはありません。
この素材を使って加工するときに違いが出てきます。316Lというのは構造上炭素を少なくしたという特徴があるらしく、これにより、アクセサリーなどの装飾品を作るとき316と比べて加工しやすいというメリットが生まれるそうです。
従来ステンレスはとても硬いため、デザイン性を持った加工ができにくく、シンプルな物しか作れなかったのですが、この316Lを使うと少し融通のきくおしゃれなデザインを作ることができそうです。
このためなのか「L」のついたSUS316Lは、ジュエリー業界や製薬業界や食品業界でステンレスのハイグレード素材と呼ばれ、少し値段が高くなるそうです。
アクセサリーを着用する側としてはどちらも同じと思って良いでしょう。

どっちを選べばいい?

まずはデザインでお気に入りを見つけましょ。この段階ではどちらでも良いでしょう。
次に、海などの塩水の環境または調理をする環境などでも着けていたい場合は「サージカル・ステンレス」素材を選ぶ方が安心ですね。
そのような環境でなければ、気に入ったデザインで選べば良いでしょう。